一度パニック障害になると、過去に起こった恐怖を思い出し、その不安がトラウマとなってしまいます。
私は、電車に乗る時、電車が出発する寸前の「逃げられない」という恐怖感、少しずつ速度を上げる電車に気が狂いそうになる感覚を経験しました。
それから、家にいても何度となくその感覚を繰り返し思い出してしまう、これが「予期不安」だという事を知りました。
何か予定が決まってしまうと、そのつどその予定に合った不安を過剰に想像してしまう、これも予期不安の一種のようです。
私は、とにかくパニック障害に負けたくない!という感情があったので、まず家で頭の中で不安に怯えていても仕方ないと思い、実戦する事にしました。
トレーニング
まずは電車に乗る事、初めは各駅停車の1駅(乗車時間2分間)にチャレンジしました。不安もあり、パニック発作が起こった時のために1駅先のゴール地点には主人に待っていてもらい、いざチャレンジスタート。
出発駅のホームに立ち、緊張からか始めに到着した電車に乗る事は出来ませんでした。
それを主人にメールで伝えると、主人から「いつでも良いよ」「無理しないで」「気楽にね」と温かいメールが届き、意を決して次に来た電車に乗り込みました。
薬の効果もあってか、緊張からくる動悸はしましたが、恐怖感は感じず、あっさり見事ゴール。初チャレンジはご褒美にケーキを買って終了しました。
このチャレンジで度胸が付き、勇気がわき、パニック障害の私が、このチャレンジの半年後にはゲスト100人以上を呼ぶ大きな結婚式も挙げられ、その後は片道一時間の電車通勤で仕事も始めました。
私の予期不安の克服方法は、頭の中で「ああなったらどうしよう」と考えた時、事前に逃げ道を考えておく事で自分自身を安心させるという方法です。
頭の中で考えてしまう予期不安を「予期不安があったおかげで、事前に解決させられる」と良いように捉えられたのがターニングポイントだったようです。
パニック障害を見つめ返して
私は大学生の頃に初めてパニック発作を起こし、今まだ精神安定剤の薬を飲んでいます。パニック障害と付き合い、早十年。ただ、私の場合、十年間ずっとパニック障害を患い薬を飲み続けているわけではありません。
20歳~24歳までの3~4年はパニック障害の症状は全くなく、その後一度悪夢のような酷いパニック障害を患い、電車にもバスにもエレベーターにも乗れない、スーパーのレジにすら並ぶのが恐ろしいという日々がありましたが、薬を飲みながら普通の生活を取り戻し、心療内科にお世話になりながらも、また電車通勤で働く事も出来るようになりました。
その後、妊娠が分かり仕事を辞め、この妊娠がきっかけでメンタルが強くなり、妊娠・出産・授乳期と約3年間、心療内科にも通わず、もちろん薬も飲まない生活をしていました。
パニック障害とは
パニック障害とは、何かの弾みで、ある日ドカンと来ます。そして段々良くなって完治したように感じるのですが、また何かがパニックの引き金となりパニック障害の生活が始まる、そんな繰り返しの生活が十年ほど続いています。
パニック障害は現代病だと思います。自分がまさか心療内科に通うようになるとは思いませんでした。
自分の考えが甘いのだ、自分は弱いから強くなっていかなくてはいけない、病院に行かなければ自分の性格上の問題だとばかり思い、苦しんでいたかもしれません。
妊娠・出産・授乳期とパニック障害の症状がなかった私ですが、子供の授乳を終了したと同時に動悸や不安感が現れ、また今3年ぶりに心療内科に通い薬のお世話になっています。
パニック障害は完治するのか、よく耳にしますが、私はしないような気がします。
それでも、上手く薬を服用すれば普通の生活が送れます。私の場合、薬を毎日飲む生活の中で、症状がなく薬の服用を何日も忘れている時があります。
そしてそれが薬が必要ない時期になったというサイン、そのサインを今また目指して生活しています。